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人生LAVITA

Lavita

1988年イタリアにいるころ、毎日行っていたBAR(バール)のおばあちゃんが事故で亡くなってしまった。お葬式に参列して、泣いている僕たちを見て、見知らぬおばあさまが、あなたたち、これが人生よ、(Questa e LA VITA) 泣くのはおやめなさいと声をかけてくれました。

その当時まだ20代後半。当然自分が死ぬなんて本気では想像もしていないころ。でもこの言葉が心に残っていて、店を始めた時につけた名前がLA VITAでした。

今夜はご葬儀の帰りにLA VITAにいらして下さったご家族があります。すごい常連さんというわけではありません。いらして頂いたのは回数にして4-5回ぐらいだと記憶しています。

最後にいらして頂いたのは約半年前。元々はお父様、お母様、そして息子さんでいらして下さっていたのですが、その日は息子さんがいらして下さって、僕はお話しできなかったのですが、中村がお話をさせて頂いて、奥さまをお連れになり御結婚されたんですと言うお話をして下さったそうです。

本日はその日いらして下さった息子さんのご葬儀だったそうです。不慮の事故で今週お亡くなりになられたそうです。まだ20代後半です。

今夜のLA VITAは満席。愉快な愉快な話声が店中に響き渡っていました。そんななか思い出を紡ぎながらのお食事をされていた、お父様、お母様、そして奥さまのお気持ちを想像いたしますとつらくなってしまいます。

中村が前回のワインや、お食事を覚えていたので同じものを召し上がっていただきました。

TRATTORIAが味だけではないと僕が何度も書いているのは、本当にこういう事です。御家族は今夜は決して美味しいものを食べに行こうという決断ではないはずです。

彼がきっとLA VITAを気にいって下さり、家族のお話しの中に出ていたんだと思います。

だからご葬儀の日にわざわざいらして下さったんだと思います。

インターネットが全盛の今の時代。人に会わなくてもなんでも出来そうですが、TRATTORIAと言われる食堂は、人と人が触れ合い時間を紡いでいく場所でもあるのです。相手の顔を見ながら美味しいものを食べてワインを飲んで過ごしていく、日常の素敵な時間。

とても深く考えさせられ、また自分が舵をとってLA VITAが進んで行く道もはっきりと確認する事が出来ました。そして、LA VITAを愛して下さって、本当に有難うございました。

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