オリーブオイルセミナーを通じて、自分が知らないイタリアの土地の料理を作らせてもらったのはこれで3度目。
食べたことがない料理を現地と同じに作るのはそれは難しく、食べた事があるオリーブオイルセミナーの講師の真島さんに何度か食べてもらい、修正を加えながら、作って行きます。
真島さんとは時間が合えばイタリアレストランを一緒に食べ歩き、その繊細な味覚はよく認識してますし、また、彼女自身も自分で料理教室を自宅でされているので、ここの味の決め方は彼女の舌を信頼して、作り上げるしかありません。
へんな言い方ですが、日本人が食べてただ美味しいという方向に持って行くほうがある意味簡単で、現地の味となると、そこにはただ美味しいと言うだけでは済まされない要素が加わります。
もちろん厳密には素材も違うし、湿度や空気感も違いますから、全く同じものにはならないと言えば、ならないです。
まあこのさじ加減は、今度はイタリアを知ってるかどうかと言う要素が加わりますので、例えば、ノルウェーの食べた事がない郷土料理を僕が再現するのは不可能です。
イタリアを思いイタリアを感じながら、思いを馳せて作り上げる郷土料理。今回のトラーパニも投げ出しそうになりながらも、トラーパニの人が食べても、懐しいって思って頂ける所まで仕上げられたと思っております。
年をとるとどうしてもつい、現状で過ごしたくなりますが、こういうセミナーとかメーカーズディナーとかは自分の枠から外れた試みをする事も多く、まあ少しでもそれで自分も成長できて、前に進めて、お客様にも喜んで頂ければ、料理人冥利につきるというものです。