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2014年今年もなんとかまた1月を迎える事が出来ました。後何年何回こうやって、この店で新しい年を迎えられるか誰もわかりませんが、続けられる限り頑張りたいと思っています。

さて新年のあいさつとして、まずはTRATTORIA論から。

正直いまやっているLA VITAは僕の理想のTRATTORIAから言うと、上品で、また値段も高く、実はサービスもこれでもやり過ぎだと思っています。

1988年イタリアのTRATTORIAで受けた衝撃。まだイタリアンやフレンチは日本では高級で、レストランしかなく、TRATTORIA(食堂)はありませんでした。僕がFirenzeで毎日通い、そしていた店は、正真正銘本当の食堂。家族経営で、メニューも別に季節でなんか変わらない。要は本当に定食屋さんです。

お客さんも毎日ほぼ一緒。でも毎日満席。暇な時はみんなでテレビを見るし、お皿やワインはお客さんが自分で取りに行くし、もちろんワインリストなんかありません。ハウスワインだけ。しかもコップで飲みます。

そうした毎日が本当に楽しかった。そしてまたいろんな細かい事件が起こるんですが、それもまた楽しかった。何より人が楽しかった。

テーブルクロスも紙でした。で、この形は、LA VITAをはじめた1993年から2000年までプリフィックス2300円フルコースというとてつもない安い値段で再現していました。今でいう俺のイタリアンと変わらない値段です。

でもある時期から売り上げが落ちてきて、変化を余儀なくさせられます。その変化は、席数を少し減らして、間隔をあけ、あまり詰め過ぎず、またテーブルクロスをひいて、少しゆっくり出来る空間にして、食材も名前の通った良いものを使いだし、当然そうすると価格も上がります。

ただ、1度上げてしまったクオリティーを下げるわけには行きません。では値段だけ下げると、やっとまとまっている収支のバランスが崩れます。昔のように時間制で1日2回転とかさせる仕事もやりたくありません。

お客様の年齢層も上がってきている現在大きな変化はなかなかできません。でも今日本で、イタリアの裏通りにある、地元の人しか行かない地域密着型のTRATTORIA(食堂)を再現出来ている店はほとんどないと思います。みんなきれいで洗礼されたお料理。そして洗礼されたワインのサービス。イタリアで僕がいたころはテイステイングなんかしないですし、ワインのコルクもスパーーンと音を立てて気持ち良く抜いたものでした。それが食堂。それが僕の目指したTRATTORIA.僕が楽しかったTRATTORIAでした。

ある程度お値段を頂くということは、それに伴ってサービスも含めてきめ細やかにしていかなくては行かなくなり、それをやりすぎると、つまらない、日本にありがちな普通のイタリアレストランになってしまいます。

自分で作った料理をお客様にお出ししたいし、それを自分でサービスしたい。最近はそう言うことも思うようになり、そうなるとカウンター式の今の若い子たちがやってるお店になります。でもそれはもうTRATTORIAではないんですね。LA VITAがお客様で満席でがやがやして、笑い声が響いて、お皿の音がカチャカチャ聞こえて、これぞ食堂。そういう店を続けていきたいと願う半面、色々なジレンマと戦っているのも事実なんです。

まだ結論は出ていません。突然もうやめるって言いだすかもしれません。でもそれは突然ではなく、もうだいぶ前から、そうしたジレンマと戦っていて、20周年をお客様と迎えられたことで、少し一つのけじめが出来たので、それがきっかけにもなっております。

ということで、新年1回目はこんなお話しから